プログラムレポート
プログラムレポート②「家業の棚卸し」

6月24日(月)にSUIKOWORKCAMPにて、「アトツギベンチャーキャンプ」2回目のプログラムを実施しました!講師にはギルドワークスの市谷聡啓さんをお招きし、ワークショップを中心に家業の棚卸をしていきます。家業について理解を深めるだけでなく、アトツギ同士で意見交換をし、新たな視点から家業を見つめ直していくことが今回の目標です!

市谷さん;本業は東京で、事業やプロダクト作りの支援をしています。経歴としてはSlerの開発会社でソフトウェア開発を経験した後、楽天に入社し楽天市場でプロデューサーを担当しました。その後アジャイル開発の仕事を経験して、起業しました。今までを振り返ると0→1の経験が多く、本当にお客さんがいるのかな?ダメだったら次こうしていこうという感じで、様々なプロジェクトの0→1をみ出す現場を経験してきました。

市谷さん:大手企業の新事業開発から、ベンチャー企業の支援も行っており、業界も様々です。それが出来るのも、どの業界でも重要となる「事業開発のやり方」を得意としているからです。年間で40〜50件のプロジェクトを行いながら、現在は静岡県でアトツギ支援の取り組みも行っています。

市谷さん:新規事業を作るときに大切にすることは、大きく二つです。
①正しくないものを作らない
②早く(少しだけ)形にする
そのためには、仮説検証+アジャイル開発=仮説検証型アジャイル開発のやり方が必要です。例えば、半年かけて完成品を作ろうと考えると相当時間とお金がかかる。この仮説検証型アジャイル開発を取り入れることが出来れば、検証したい部分を先に作り、成功・失敗を早めに検証することで、時間やお金といったコストを軽減し、事業開発の成功率を高めることが出来ます。


市谷さん:スライドの見方としては、左端がスタート地点で、右端がゴール地点です。最初は手段や選択肢がたくさんあるのが特徴で、いきなり選択肢を絞りこむのではなく、ある程度選択肢として持っていく。その中から上記のプロセスを経て、検証を繰り返す中で生き残った手段を製品化し、市場に出していくことが大切です。

市谷さん:アトツギベンチャーキャンプのプログラムをどんどん先取りして進めていきたい方は、ちょうど本が発売になったので!ぜひ手にとってみてください。
https://www.amazon.co.jp/dp/4802511191/
(正しいものを正しく作る/著:市谷聡啓さん)

市谷さん:仮説検証とは、「失敗=学習」の積み重ねです。「効率よく失敗し、効率よく効果的な学びを得る=リーンスタートアップ」これを参考にした考え方です。

市谷さん:価値の中にもパッと聞いて分かる価値と、使っていくうちに分かる価値があります。後者はそもそも手にとってもらうことがないと始まらない価値です。スライドは、それらの価値を認識し活かす際に起こりうる失敗のパターンについて明らかにしたものです。

市谷さん:「アテンションにあたる価値がない」とは、使っていくうちに分かる価値はあるけれど、はじめに使ってもらうための価値が足りない状態です。「優位性とつながっていない」とは、色々アイデアは思いつくけれど結局その企業の中にあるリソース(人か物か情報か技術かもしれないけど)と繋がっていない状態です。「体験の検証をやっていない」とは、実際にユーザーに使ってみてもらえていない状態、「チャネルの検証をやっていない」とは、どうやって商品を届けていくかが分かっていない状態です。

市谷さん:「検証結果を都合よく解釈してしまう」とは、こういう結果だからこう捉えて良いだろうというように、自分の都合よく結果を解釈してしまう状態で、リアルな声と異なる解釈をするため最終的には上手くいかないことが多いです。また、よくあるのが「事業を始めてしまうこと」で、プロダクトが出来上がってしまうと売るための体制づくりとか投資を考えてしまうため、本当に価値があるかわからないのに進めてしまうことがあります。「世の中の理論を鵜呑みにする」とは、世の中に多く存在する理論を盲信してしまい、なぜ必要なのか?どういう風に必要なのか?を理解しないまま進めてしまっている状態です。


市谷さん:また、大手企業・ベンチャー企業では、異なる失敗の傾向があります。「採用の失敗」と「却下の失敗」です。「採用の失敗」は、ベンチャー企業によく見られる傾向で、選択肢の採用基準が低いために、アイデアを絞ることが出来ず、何でもありの状態になってしまい、本当に重要なアイデアが決まらなくなってしまいます。「却下の失敗」は、大手企業によく見られる傾向で、選択肢の採用基準が厳しすぎるために、検証を進めていく中で実現させるアイデアが残らなくなってしまいます。


市谷さん:そこでこれらの傾向をふまえて最も重要なことは、「正しくないものを、つくらない」こと。そのためには、大企業では「却下の失敗」を、ベンチャー企業では「採用の失敗」を防ぐことが重要です。


市谷さん:ここで参考になる考え方として「エフェクチュエーション」があります。不確実性の高い環境に対応するためには、今までの理論で言われてきたSTP分析に頼るのではなくて、「戦略的計画」に加えて「戦略的直感」を取り入れていくことをサラスサラスバシーは述べています。

市谷さん:大きく分けて5つの原則があり、①手持ち鳥の原則②許容可能な損失の原則③クレイジーキルトの原則(例えば、大きな理念があっても、繋がりのない人にアプローチしても一緒に取り組めないことが多いため、出来ること・繋がっている人と一緒に動く)④レモネードの原則⑤飛行中のパイロットの原則、これらを柔軟に取り入れていく必要があります。

市谷さん:これまでの内容をふまえて、皆さんの現状を整理していきたいと思います。強みを言語化すると、コアコンピタンスという有名な考え方があります。「顧客になんらかの利益をもたらす能力」「競合他社から模倣されにくい能力」「複数の商品・市場で推進となる能力」から構成される強みは何なのか?こういった能力に近いものはなんだろうか?と考えていきましょう。


市谷さん:具体的には仮設キャンパスというツールを活用していきます。5年間、どのような項目で書き出すのが良いか改良を重ねたものになるので、ぜひ皆さんの家業について書き出してみてください!いきなり書き出すと大変なので、Step–By−Stepで同期しながら進めていきたいと思います。

【STEP1:顧客に関する棚卸し】

市谷さん:顧客については、こういう状況を。◯◯代とか男性女性ということに加えて、シーンを思い浮かべられると良いと思います。課題は大きく分けて2種類あり、「顕在課題」と「潜在課題」に分類出来ます。現在行なっている事業が、顧客にとって気づいていない課題が「潜在課題」と気づいている課題が「顕在課題」です。課題に対して顧客の代替手段があればほかにこんなものがありそうということも挙げてください。人脈・ネットワークについては、現状の事業をやっていく中でどのような繋がりがあるのか?挙げてみてください。

それぞれのチームに分かれてワークを行いました!
自分自身の家業について書き出しながら、アトツギの仲間たちからアドバイスやアイデアをもらいながら、より深く家業について考えていきます^^

【STEP2:提供側の棚卸し】


市谷さん:次は「提案価値」・「実現手段」・「優位性」・「チーム・パートナー」について考えていきます。提案価値を提供するために、特に重要な手段を「実現手段」にあげてください。「優位性」は、提案価値の実現において最も重要な自社の能力を挙げてください。「チーム・パートナー」は、提案価値の実現を支える自社およびパートナーの特徴を挙げてください。

事例発表では、Shpreeの岸田さんが記入した仮設キャンパスの内容を共有しました。
顧客:お客さんは主婦。
課題:靴の修理をしたい。提案価値としては靴を履くタイミングで届く。
提案価値:靴を旅行先に送る。
実現方法:ウェブサイトでの靴の預かりメンテナンスをしている。
市谷さん:こういう風に整合性が取れているかどうかがすごく大切です。実現手段も結構大事。これをリソースとして提案価値を考えていきましょう。

【STEP3:自社の目的と、顧客のビジョンを捉える】


市谷さん:ビジョンについては、皆さんが実現したいと思う期間を設定してください。市場規模は、例えば種を生産する農家さんが顧客の場合、その対象となる農家さんが合計でどれくらいあるか?具体的にイメージしてもらえたらと思います。

メンター陣ともコミュニケーションを取りながら、様々な視点からフィードバックをもらいながらワークを進めていきます。

【STEP4 隠れたリソースを探す】

市谷さん:このワークは、今使われているペンとは違う色で書いてみてください。顧客は、例えば農家さんが顧客な場合、違う農家さんはどうなのか?顧客になり得るんじゃないかというあたりを書いてみてください。課題は、想像できるのであれば書いてみてください。市場規模も同じく、◯◯市場と言われた時に隣の市場が考えられた時にその市場についても書いてみてください。これからアイデアを考えていくために、アイデアの種を広げるためにシートを使って考えていきます。

【STEP5:他者のフィードバックに耳を傾ける】

市谷さん:最後は、3人1組に分かれてそれぞれが他の方からのフィードバックをもらう時間を取ります。キャンバスを踏まえて自社の強みは何かを中心に、キャンバスの内容を説明してもらいます。それを聞いてメモをしてもらい次につなげて頂きたいと思います。
展開した内容をもとに、5つのリソースをピックアップして、これからアイデアを考えていくための時間にしていきたいと思います。


それぞれが家業について、お互いに語り合いながら。
自分自身の家業について掘り下げることが出来た時間だったと思います!
次回3回目は「アイデア創造・創発」についてです!お楽しみに^^
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Writer:岩田直樹

岐阜県瑞穂市出身。公立鳥取環境大学院修士2年、マーケティング専攻
大学1年生の時に「起業部」を立ち上げ、鳥取の中心市街地でイベント企画や地元企業と連携した商品開発をしていたところ、鳥取市用瀬町の住人から声をかけてもらい、3年前から「もちがせ週末住人」と名乗り活動を始める。町のありのままの暮らしに、「週末」だけでも「住人」として関わらせてもらう中で、自分たちの同世代にとって大きな気付きがあると感じ、2017年1月に「体験と民泊 もちがせ週末住人の家」を、2017年10月に「体験と民泊 暮らしの旅人」をオープン。地域と同世代を繋ぐ拠点として、様々な挑戦をプロデュースしている。「若者×地域の可能性」をテーマに、若者×地元住人の団体「もちがせコミュニティまちづくり」の立ち上げや、日本財団×鳥取県が主催する「高校生旅行社」の運営、総務省が主催して行なっている「ふるさワーキングホリデー」の受け入れなどを行う。

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